先週末、ようやく2日だけ時間ができたのでフィトンチッドを吸収すべく、行ってきました。
例年より訪れるのがほんの2週間ほど遅いだけでも森の緑はその濃さを増し鬱蒼としていました。
春蝉の声が山中に響き渡り、さまざまな鳥たちの声も聞こえてきます。
誰もいないカラマツや白樺が混生する森は僕のお気に入りの場所。
この場所に通うようになってから25年ほど経つでしょうか。
テントを立て、石で炉を組み直し小さな火を焚けば準備完了。
そして、ビールのプルトップを開ければ完璧。
あとは、何をするということはなく、火を焚きながら生き物の気配を感じ、鳥の声を聞き、ビールを飲むだけでいいのです。
テントの周りにラショウモンカズラの群落。
花言葉:幸せを招く
心の中までも染み込んでくる夕焼け。
日が沈むと鹿たちは動き出します。谷に響く鳴き声。
森の中を動いている気配を一晩中感じるのでした。
火を焚きたくて来ているのかもしれません。
パチパチと弾ける火、赤、青、黄、の炎は見ていて決して飽きることはありません。
毎日でも火を焚いて暮らしたいのですが、今の暮らしではそれも出来ず、キャンプに来た時はとにかく焚き火を楽しむのです。
そして焚き火で作る料理。
焚き火の炎は魔法の調味料。カラマツの下枝の薪で燻された肉はどんなに高級な店よりも美味いのは間違いありません。
鉄鍋があればピザも焼けます。イーストを練り込んだ生地を焚き火のそばで発酵させるのです。普段の食事よりキャンプでの食事は贅沢かも?
ランタンを消せば辺りは闇。
おそらくほとんどの人は漆黒の闇を経験したことがないのでは?
24時間、音や光のある街の中ではこの暗さはきっと恐怖になるはずです。
すべての明かりを消して、テントに入り、寝袋にもぐり込む時は原始への一歩。
熾火が弾ける音が小さくなると、森の中を歩く獣の音が聞こえ、トラツグミが奇妙な声で鳴き始め、フクロウの心地よい低い声が重なってゆく......
森の夜はなかなかに刺激的なのです。