2015年11月4日水曜日

Mamiya



Mamiya 645AFD Ⅱ   645ミディアム・フォーマット・カメラ。
四角いボディー、流線型のファインダー。何とも言えないそのフォルムは独特である。

長い間お世話になったマミヤがデンマークのメーカー Phase One に吸収された。
創業1940年、ミディアム・フォーマットの一時代を築き上げてきたマミヤ。
世界中の僕の好きな写真家たちはマミヤを手にしていた。

会社は吸収されても商品名である Mamiya は残るという。

主に動物を撮影することに集中していた僕は、それまでは35ミリ一筋だった。
ある時、知り合いのマミヤの方からお借りした Mamiya 645AFD 。35ミリとはボディーの大きさも、フォーマットも、フィルム装填の仕方もまるで違うカメラに最初は戸惑っていたものだ。

その後、発売された AFD Ⅱ 。このカメラのカタログ写真を担当させていただくことになった。ヨドバシカメラを訪れる度、中判カメラのフロアへ行き、自分のカタログやポスターを横目でニヤニヤと見ていたことを思い出す。


マミヤは写真を撮る上で様々な大切なことを気づかせてくれた。じっくりと被写体に向き合うこと。それまではとにかくチャンスを逃さないようにシャッターを切っていた僕だが、マミヤを持つと一番大切なことはシャッターチャンスではなくなった。

もっとも大切なことは、被写体と心を通わせること......

このカメラを使う時は、被写体の前で何時間でも待ち続けることができた。ゆっくりと露出を決め、ゆっくりとシャッターを切る。シャッターチャンスはシャッターを切った時だった。


氷河とマウンテンゴート

氷河にカメラを向けていると丘の上に一頭のマウンテンゴートが現れた。大きな風景の中に点景で動物が入ってくれるとその景色はまた違ったものになる。広い風景にはフォーマットは大きければ大きいほどいい。


ブラックベアの親子

中判では望遠レンズを使っても引き寄せられる距離はしれている。35ミリと同じ焦点距離のレンズでも、倍近く被写体に近づかねばならない。被写体によっては緊張感は増すが、しかし、それだけ世界には入りこめる。



Mamiya 7 6 × 7 ミディアム・フォーマット・カメラ。
型こそ35ミリ一眼レフに似ているがブローニーフィルムを使う中判カメラ。

フイルム室に特殊なアダプターを入れることによって35ミリフィルムでパノラマ撮影ができる。僕は7のそこが気に入っていた。





フイルムから今やデジタルへと写真界も大きく変わった。
マミヤの吸収も、そんな流れの中のひとつなのだろう。

多くの知り合いの写真家たちはフィルムカメラを手放したという話を聞く。
僕はこのカメラを大切にしたいと思っている。一年に一度でもいいからフイルムを詰め、長い時間をかけて、じっくりと一枚の為のシャッターを切りたいと思っている。