遠足当日の子供のような感覚で1時間も早く目が覚めてしまった。
全ての荷物は前日に積み込んであったので服を着替え、静かにドアを出る。
北へ向かえることで胸の高鳴りをとめることはできなかった。
アクセルを踏み込む足には自然と力が入り、850kmの距離はあっという間、夕方にはもう駒ケ岳を望む大沼のキャンプ場にいた。
北海道は僕にとって心の場所。
大学時代と卒業後もしばらく暮らしていたし、その後も毎年通っていた。
この地に立つことで原点回帰となる。
まだまだ暑い関東地方から訪れたその場所は既に秋の気配、さらに標高をあげれば秋真っ只中。山頂には雪さえある。
冷たい空気を胸いっぱいに吸い込むと、落ち着いた気持ちになれる。
逢いたかった動物たちは、冬に向けどことなくせわしく動いているようだった。
神々の遊ぶ庭
十数年ぶりに目にした懐かしい風景。
夏も、秋も、そして冬にもこの山には登った。
紅葉の中のナキウサギ
ガンコウランの実を頬袋にため込むシマリス
イイズナはシマリスを追いかけまわしていた
冬を越すための餌を蓄えるのに忙しいナキウサギは岩場を走り回る
霧のない摩周湖
隠れた岩場でひっそりと水を落とす男の涙
森の中の若い雄鹿
柱状節理の岸壁にはオジロワシ
魚を獲るシマフクロウ
ヒグマは丘の下を流れる川を遡上する鮭を見ていた
ここ数年は、なんとか北海道を訪れることができている、が、いずれも数日間。以前のように数ヶ月単位であちこち回りながらキャンプをしてじっくりと動物たちの姿を撮影したいものである。
滞在を1日延ばしてしまった知床で、なんとか熊の姿を見ることができた後、一気に1,700kmを走り自宅へと戻ったのでした。