2015年4月12日日曜日

クジラの海


クルーズ船の近くをゆくザトウクジラ


数日前のこと。釜山発、福岡行きの国際旅客船がクジラと衝突して負傷者が出たらしい。
船は近くにいた海上保安船に引かれ釜山へ戻ったという。

大きな船が怪我人がでるほど衝撃を受けたということはクジラも相当なダメージだったはずだ。生きているだろうか。

アラスカのグレーシャー・ベイでもクジラと客船の事故のことを何度か聞いた。
アラスカやカナダ沿岸部は夏の間のクジラたちが過ごす格好の餌場となっており、その素敵な景観から多くの客船が氷河クルーズに訪れる場所でもある。

餌を求めて入江に入って来るクジラと、入江の奥に広がる氷河を見に訪れる客船との接触事故はまれに起こる。

僕がグレーシャー・ベイを訪れていた時、ザトウクジラの子供が客船とぶつかったという話を聞いた。子クジラは死に、岸に打ち上げられたという。

母クジラと大海を回遊し、餌場であるアラスカの海へやって来た子クジラを待っていたのは、豊潤な北の海の恵みではなく、死であったとは。

その後、浜辺に打ち上げられた子クジラは、クマや白頭鷲たちの突然手に入った、思わぬ食料となったようだ。

交通事故は広いと思われる海上でも起こる。
船などない時代から生きているクジラたちには災難であるに違いないが......


天気のいい日中、海にふわふわと浮かび昼寝をするクジラの姿を見かけた。


夕日に浮かび上がるブロア(噴気)カヤックでクジラの後を追う時、何度もこのブロアを浴びた。生臭い、いきものの匂いがした。

3 件のコメント:

  1. カヤックでクジラを追うところが単なる写真家ではなく、冒険家でもあるところです。また、野生動物や自然に対する深い見識があるところが、自然・野生動物研究家でもあるところです。万が一、クジラがカヤックに衝突すると、その衝撃の大きさだけでなく、冷たい水の中に落ちるので、非常に危険ですが、勇気と知的好奇心と探究心がそれを勝っているのでしょう。

    当時、アラスカのパッククリークとキャンプをした無人島で、園原さんから聞いた話には感銘を受けました。野生動物と自然に対する情熱と冒険心(単なる観光旅行ではない)が違います。

    アラスカのグレーシャー・ベイには行きたかったのですが、行く機会がありませんでした。ここ何年かは、アフリカのサファリや南米(アマゾン、アンデス、ガラパゴス)などを中心に訪れていますが、自然の美しさ、風景の雄大さ、大型野生動物の豊かさ、秘境へのアクセスのし易さ、キャンプやトレッキングのし易さなどを総合的に考えると、アラスカの魅力度は高いです。

    当時、アラスカで園原さんのカメラの超望遠レンズを覗いて感動を受けました。1年位前にニコンのフルサイズをやっと購入しました。ニコンの純正レンズ(超望遠)は価格の桁が違うので、購入していませんが、サードパーティ製の超望遠レンズを使用しています。

    仕事もいつの間にか光学機器メーカーでしていますし、人生のベクトルが自然・野生動物と写真の方向に向かっています。アラスカで園原さんから聞いた話の影響が大きいのかも知れませんね。

    園原さんがアラスカで自然探索・撮影ツアーのガイドをしたら、多くの人が喜ぶでしょうね。

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    1. Tundra君

      ありがとう。パッククリークのキャンプ地、スワン・アイランドは良かったですねぇ〜。いいキャンプでした。思い出すなぁ〜。

      僕もあちこち行ったけれど、動物も景色も、自分の感覚に合っていていいと思えるところは、そう多くはないですね。

      あの時の望遠レンズは今でも使ってますよ。
      写真を撮るのに大切なのはメーカーや価格じゃなくて、撮る人の心だと思ってるから(笑 サードパーティーのレンズでも安いカメラでもちゃんとした写真は撮れるはずです。 そのうち見せてくださいね!

      園原

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  2. 当時のアラスカでの経験は人生の宝です。本当にありがとうございました。
    園原さんの次回の展示会や講演会を楽しみにしています。

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