街の中の暮らしが好きな人もいれば、自然の中での暮らしが好きな人もいる。
僕は確実に後者の人間だと思う。
ずっと自然の中にさえいれば幸せでいられるのです。
街の灯りが恋しいと思うことは、ない。 ( 赤ちょうちんは別として...... )
このごろはとくに、森へ出かけずにいるとイライラがつのってしまうのです。
ここ数年はほとんど街での我慢の暮らし...
かつては年間100日近くをテントで暮らしておりました。
そんなわけで、また、秋の森へ行ってきました。
あまり遠出はできないので北八ヶ岳と八千穂高原を回り、いつもの秘密のキャンプ地へ。
大学を卒業した年、北八ヶ岳の高見石小屋でアルバイトをしていたことがあります。
ボッカ(荷物運び)や薪割り、食事の支度、登山客の世話〜 etc. 対人関係の苦手な僕にはお客様の相手さえなければ最高の仕事だったことを思い出します。
その後、何度か訪れていましたが今回は十数年ぶりかもしれません。
苔むしたコメツガやトウヒからなる北八の森。
アラスカやカナダの海岸沿いにもよく似た光景があります。
標高千メートルを越えたあたりから増え始める白樺の樹々。
その白い幹は冬に向けさらに白さを増し、白と紅葉した葉のコントラストは視覚から感情を刺激するのです。
テントを張ったその場所から樹冠を見上げた風景。
ずっと、こんな森の中で暮らせたなら......
時折風が吹くと、ハラハラと舞う彩の葉。
そんな時、必ずといっていいほど僕の頭の中では George Winston のピアノの音色が流れてきます。
毎年、秋のアラスカの紅葉を目に、頭の中で流れていたピアノの音。
その音に重なって響いていたオオカミの遠吠え。
残念ながらここではオオカミの声は聞こえては来ないけれど、冷んやりと心地よい秋の空気に包まれ、焚火の炎を見つめていると、少しづつ心が癒されてゆくのです。
森の奥で、鹿が鳴きました。