両手に持ったストックを雪面に突き刺し、細いスキーの一歩を蹴り出す、新雪の上を、スーッと体重が移動してゆく。雪の世界は静かだ。枝から枝へと移るコガラの姿。風に乗って聞こえて来るキツツキのドラミング。哺乳類の姿を探すがそう簡単には姿を現してはくれないだろう。見上げると冬の樹々の枝が目を魅いた。その光景を見る度に毛細血管を想像してしまう。幹を通じ水分や養分を運ぶ枝の働きは血管とも似ている。自然界にあるものも、人間の体もきっとそう変りはないのだろう。
人間よりも遥かに長い時を生きている樹。何も言わず、風に吹かれ、雪が積もり、それでもひたすら立ち続ける。なんて、ちょっと感傷にひたることができるのも冬の森の中にいるからだろうか......













