2017年3月9日木曜日

デナリ・ナショナルパーク、100周年。

アラスカ。デナリナショナルパーク。設立100周年。

北米大陸の最高峰であるデナリ、その山を取り囲むように広がる九州と同じほどの面積を持つ国立公園。6000メートルを超えるデナリを主峰に多くの白き峰々が天を貫き、裾野に広がる荒野にはグリズリーやオオカミ、ヘラジカ、カリブー、多くの野生動物が暮らしています。1917年、国立公園に制定されてから100年が経ちました。

アラスカへ通うようになり訪れた回数は数え切れないほど、20年以上通った場所です。四季を問わず多くの時間をこの場所で過ごし、心に残る写真の多くもこの国立公園で撮影しました。


ワンダーレイクに映るデナリとアラスカ山脈。

神秘的な湖に映る山々の姿が撮りたくて、テントから片道一時間半ほどの道のりを何度通ったことでしょう。ヘッドランプの光を頼りに、夜中にテントを出ると何度かクマにも遭遇しました。

往復三時間余りの道のりを歩いても、雲が出て山が隠れてしまったり、いい光にならなかったり、かと思えばタイミングよく湖にヘラジカが入っていたり、様々なことがありました。



朝日の昇ったツンドラに現れたヘラジカ。

この場所では写真撮影の多くを学んだ気がします。

多くの動物を観察することができ、風景も最高、そんなシチュエーションでの撮影は至福の時でした。
世界的にも有名な国立公園だけあって、ナショナルジオグラフィックの写真家たちとも出会うことがあり、レンズを並べて撮影するチャンスにも恵まれました。

手つかずのまま、そのままに残されている国立公園が100年もの歴史を誇るというのは素敵なことではないでしょうか......

久しぶりにまた、ワンダーレイク越しにデナリを眺めたい、デナリ国立公園設立100周年の声を聞き、そんな思いになりました。


2017年2月6日月曜日

赤い鳥を求めて...


冬型気圧配置は関東地方の山々にも積雪をもたらしました。
キィーンと冷えた空気の中で冬の鳥の姿を見たくなり出かけた週末。

街での生活にどっぷりと浸っていると、精神も、体も軟弱になってゆく自分を感じます、寒さに弱くなってゆくのがわかるのです。だめだなぁ〜、そう思いつつ、カメラと三脚をバックシートに放り込み雪の積もっている山を目指して車を飛ばしました。


山沿いの里には蝋梅が満開の季節、甘い香りに季節は動いているのだなぁ〜と感じます。道に残る雪をスタットレスで踏みしめながら標高を上げて行きます。車を停め森の中へ......

頬を撫で、吹き抜けてゆく冷たい風。葉を落とした森に走る鳥たちの影。近くではアカゲラが木を啄く音。

生き物たちの気配を感じるために街の暮らしで鈍った五感を取り戻すのには少し時間がかかります。


木につけられたクマの爪研ぎの痕。数年前から気になっていた木には爪痕の本数が増えていました。何度かやって来ているはずのクマもまだ冬ごもりの中でしょう。

この森で一番の目的の鳥はオオマシコ。シベリア地方から冬になると渡ってくる冬鳥です。特徴はその体色の赤。

鳥たちの鳴き声と気配に耳をすますこと数時間。


ふと気づくと目の前の枝に真っ赤な鳥が......


一旦鳥たちが姿を現すと、急に騒がしくなる森!
争う二羽。上にいるのはアトリ。大きな群れになることが知られている鳥です。多い時には数十万羽に及ぶことも。


アトリ同士の争い


正面から見た顔、お茶目で可愛いこと


お洒落なアイランが可愛い、ゴジュウカラ。独特な爪の作りで木の幹に逆さまに掴まることができる鳥です。


雪の白に映える赤。

なぜ、赤という色がこの鳥についたのか?きっと何か意味があるはずです。けれど意味などどうでもいいのです、レンズ越しに目の前にいる鳥は、ただ、ただ美しく、今、僕の目の前にいることに意味があるのですから。

シベリア地方から数千キロもを旅してくる数少ないこの小さな鳥、その姿を目にすることに希望と勇気を与えられた、意味のある週末でした。

2017年1月31日火曜日

フォトグラファーズ・ラボラトリーにて

かつて、最強のプロレスラーだった力道山。
彼が赤坂に建てたその名もリキ・マンションの一室にこのラボはあります。

小さな入り口を入ると、混ざり合う薬品の匂い。雑然と配置された大きなプリンター、現像機、スキャナー、パソコン。たたみ1畳ほどもある巨大なライトテーブル。

この場所へ来ると、まだ写真家としてはヒヨッコだった頃を思い出すのです。
写真家として活動したての頃、僕の写真を見て、会社持ちで大きな写真展を開催してくれたのはこのラボの方達でした。

久しぶりに写真のプリントの注文があり、ラボを訪れたのです。

この人なしにはプリントは語れない、と云う日本では有名な、いや、世界的に有名なプリンターがこのラボにはいます。日本の著名写真家はもとよりナショナルジオグラフィックの写真家など海外の著名写真家のプリントにもたずさわるプリンター。二十年ほど前から僕の写真を焼いてくれているプリンターです。その人の名は那須川 冨美男さん。

最も好きなアメリカの自然写真家、ジム・ブランデンバーグ。彼の展示が東京であった28年ほど前。その巨大な彼のプリントを見て衝撃を受けました。そのプリントを製作していたのが那須川さんでした。

そのことを知ったのは那須川さんと知り合ってしばらくたってからのことでしたが......


プリンター、現像液のタンク、スキャナーなどが所狭しと並んでいる。


奥の間で作業をするデザイナーの林さん。


最初のテストプリント、大まかな色のチェック。


細かい部分をチェック、フィルターをかざし色を見てゆく。そして最終的に色の決定をしたところで最後のプリントに入ります。


出来上がったプリントを壁にマグネットではる那須川さん。理想的に上がった写真に二人でしばらく見入っておりました。


久しぶりの大きなプリントに感激。写真の前で二人で記念撮影。
写真の大きさは1200mm × 1800mm 


写真の右下に、(かっこいい?笑 ) サインを入れました。
裏打ちとラミネート加工を施したのち、注文を頂いたお客様の元へお届けします。

注文を頂いた方のお部屋の壁にこの写真が飾られる様子を想像すると、たまりません♡
妄想は膨らみ、早くまた、大自然の中に撮影へ飛び出したい衝動に駆られるのでした。



2017年1月26日木曜日

コニカミノルタプラザ

コニカミノルタプラザ、新宿東口駅前。高野本社ビル 4F。写真映像ギャラリー。
そこは僕の写真人生を大きく動かしてくれた場所でした。

これまで多くの場所で写真の展示を行ってきましたが、
その中でも最も思い出に残るのがコニカミノルタプラザかもしれません。
30年近く前から通っていたこの場所。

階上にある高野フルーツパーラーの苺パフェもこの場所を訪れる時の魅力の一つでした。

GALLERY- C での展示で始まり、エコの森、GALLERY-A 、そしてナショナルジオグラフィックと造形作家の中村キリンとのコラボ開催の再びの GALLERY-C と、4回の展示をさせていただきました。


コニカミノルタプラザで初めての展示は GALLERY-C での
「アラスカ〜北の王国」


二度のスライドトーク。等身大のシロクマやホッキョクジリスのプリントの展示。
多くの子供達が隣に寝転び写真を撮っていたことを思い出します。



エコの森の展示は丹頂鶴やニホンザル、雪豹、ニシキヘビ、そしてアラスカの動物たち。


二度目の GALLERY-C での「 Think ! 生物多様性 」の展示。
ナショナルジオグラフィック、中村キリンとのコラボ展。
オオカミとシロクマの写真を展示。


中村キリンが制作したゾウガメは子供達に大人気でした。


GALLERY-A での展示 「 ALASKA PEACE ON THE LAND 」


いつの展示も、連日大勢の方々が訪れてくれました。

スタッフの方たちはあたたかく、フロントには美しい受付嬢たちがいて、僕にとっては最高のギャラリーでした。展示中に知り合った写真家やアーティストの方たちとは今でもつき合いがあり刺激を受けています。

閉館の話を聞いた時は胸の詰まる思いでした。
写真業界も少しづつ変化している中で、一つの時代が終ったということなのでしょう。
大都会の真ん中の、こんな素敵なギャラリーで4回もの展示をさせていただいたことを今では誇りに思います。

もう二度と高野フルーツパーラーで、苺パフェを食べることはない、そんな気がします。

変化の目まぐるしい時代の中で、写真というジャンルもまたその渦中にあることは確かでしょう。撮影の仕方も考え方も古いタイプの僕ですが、死ぬまでシャッターは切り続けて行こうと思います。まだまだ見たい動物、撮りたいシーンは頭の中に広がっているのだから......


2017年 1月 23日、月曜日。 
コニカミノルタプラザは60年という長い歴史に幕を下ろしました。

本当に、ありがとうございました。



2017年1月2日月曜日

新たな年を迎えて


謹賀新年

新たな年が明けました。
いい事も、悪いことも、様々なできごとがあった昨年ですが、再びリセット。

今年もこの美しい地球という星の上で暮らせることの喜びを感じつつ、正月の富士山に向かい心の中で感謝の言葉を捧げました。

今年もきっと色んな出来事があるでしょうが、しかと人生に刻みつつ生きてゆきたいと思います。

......ちょっと大袈裟ですが。




空には美しい上弦の月が上がっておりました。
そして、その横にはポツンと金星の姿が。

月と星を見上げていると、不思議な気持ちになりました。
この星に生まれ日々を生きていることの不思議。

時間軸の差こそあれ、星にも人にもその一生があるということ。
今年もできるだけ自然の近くで自然のパワーを感じでいよう、そう思った日です。

2016年12月4日日曜日

申年の終わりに......


” おう〜っ!”

猿はあたかもそう言っているように僕を迎えてくれたのでした。

アメリカから帰国した友人母娘のリクエストにお答えして久しぶりに訪れた地獄谷温泉。
高速から見える山々の稜線には新雪がつき、里には真っ赤なリンゴが色づく季節。

秋の一時期しか食べられない小布施のマロンシュークリームはまだこの季節の販売を終了していないだろうか?そんなことを考えながらハンドルを握っておりました。

家族とは何度も訪れ、海外からの友人を連れてきたり、海外の写真家のガイドでも訪れておりました。猿が温泉に入る姿は多くの雑誌やテレビでも紹介され、今や世界中から多くの人々が訪れるようになりました。



猿たちの仕草や表情の豊かなこと、ずっと見ていても飽きません。
野生動物写真家のご主人を持つ友人母娘はいつも広大な自然の中で様々な野生動物たちの織り成すシーンを目にしているので、地獄谷の猿はどうだろうか?と少し心配ではありました。

が、しかし、そんな心配はどこへやら。想像もしなかった食いつきようで興奮状態の二人!僕は満足して、写真を撮り続ける二人の姿を笑って見ておりました。


いつも利用させていただいていた、上林温泉の宿を今回も予約しておりました。
入り口を入ると僕の撮った写真が迎えてくれ、ロビーのあちこちにも飾ってくれています。宿のオヤジさんはキャラクターの濃い、とても面白く、ちょっとエッチな人。ガイドの仕事で初めて訪れた時から意気投合し、訪れる度に酒を酌み交わしたものです。

久しぶりの再会に飲もうとジョニアカを一本仕入れて行ったのですが。二年前に亡くなっておりました。オヤジさんが作った庭を見ながら露天風呂に入ると冷んやりとした空気の中から舞い落ちてくる雪......

今頃は空の上で温泉に入り、きっと一杯やっているにちがいありません。


2016年11月28日月曜日

秋の森における精神的影響






                                         



この秋も、できる限り多くの時を森の木々を見て過ごしました。
街での暮らしがどうもしっくりこない僕は都会にいるとストレスが溜まるのです。

「もみじ狩り」... 秋の紅葉を見に出かけること。
そんな言葉のある日本という国はとても繊細な感覚を持つ素敵な国だと思います。

我々の住む地球には、地軸にわずか23.4度という傾きがあるがゆえに生まれた四季があります。四季それぞれに森の姿を味わえるのはこの傾きのなす偶然によるものなのです。

島国である日本の森は箱庭的であるがゆえに繊細さをかもし出しているのかもしれません。大陸的で、圧倒される風景とは違い、どことなく温もりとやさしささえ感じられる自然である気がします。

紅葉のカラフルな葉は視覚を刺激し安らぎを与えてくれます。その相乗効果として木々から放出されているフィトンチッド。その成分と効能は。

α−ピネン      ・・・   鎮静作用
シトラール      ・・・  自律神経の安定作用
リモネン       ・・・  血圧の安定
ボルネオール      ・・・ 体内時計の調整
α−カジノオール  ・・・ 疼痛の緩和

本能的に森へ行きたくなるのはこれらの作用が DNAの中に記憶されているからでしょうか?体ひとつで森の中で暮らしている動物たちが健康的に暮らしているのにもこういった成分が一役かっているのかもしれません。

ハラハラと舞い落ちる色づいた葉。何となくセンチメンタルな気分になる秋の森、地面に積った葉は腐葉土層を形成し、新たに育ってゆく木々の養分になっていきます。

人の暮らしも、木々の暮らしもその時間軸の差こそあれ、その一生に大きな差はないのかもしれません......

あとひと月もすれば、落葉樹のすべての葉はおち、春までの休止期に入ります。
やがて雪の積もった木々は再び視覚的に楽しませてくれる森となり、そんな森に癒されに僕はまた森へ行くことになると思います。