2017年12月22日金曜日

冬からの使者


どうも僕は白いものに弱い。

冬。雪。そして、白い鳥(タンチョウヅル、ユキホオジロ、キョクアジサシ、シロフクロウ、シロハヤブサ、白鳥)

白 → 北
そんなイメージが頭の中にあるのでしょう、白いものを目にすると心が震えるのです。
北極圏でいつも見ていた色白の鳥たちが頭の中に蘇ってくるのです。

確か去年は訪れることはなかった、自宅から近いところに白鳥の飛来地があります。
急に白鳥の声が聞きたくなりました。

数羽が飛来、と耳にしていたのは2ヶ月ほど前。現在は60羽ほどいるようです。
シベリアから新潟の瓢湖を経由し、渡ってくるという埼玉の群れ。

明けきらぬ薄明の中を、遠くから白鳥たちの声が響き始めると、
「ブルンッ!ブルンッ!」と力強く羽ばたく大きな翼音が目の前を通過してゆきます。


白という色には神秘的な魅力が。


 家族を単位としている群れ。


集まった群れは毛づくろいをしながらしばらく過ごし、


太陽の日が差すと、乱舞するように一斉に飛び立つ。 
鳴き声、翼の音、この迫力には心が震える......


ほんとにここは埼玉か?と思える光景。


三段飛び。


壮絶な朝の光景を目にした後、ポツンと水に浮かんでいた真っ黒い一羽のバン。

今朝の舞台ではスポットライトを浴びることはなかったけれど、
なんだか愛おしい存在に思えたのでした......



2017年12月15日金曜日

冬へ向かう森


テレビのニュースが今季一番の冷え込みを伝えた日。
いつもの森には冬に向かう姿がありました。

明けやらぬ森にゆっくりと光が射し、山の朝が始まります。

冷たい空気を吸い込みながらそんな森の姿を眺めていると、
息をするだけでスゥ〜ッと頭の中の霧が晴れてゆくような感覚になれるのです。

深呼吸には脳を活性化させ、心拍数を下げ、気持ちを落ち着ける作用があります。
そして、森の中にはフィトンチッド。樹々が発しているという化学物質。

森の空気の中にたっぷりと含まれているであろうこの物質と澄んだ空気を胸一杯に吸い込むことで気持ちは穏やかに。その存在を直接的に感じるわけではないけれど、心が安らぐということは、きっと効果はあるのでしょう。



冬を前に一見モノトーンに見える森も、
足元に目を落とすとまだそこに残る秋の色。カラフルな世界が広がっていました。


霜の降りた葉は自然が作り出したアート作品。
マクロレンズを付けたカメラで何時間でもファインダーを覗いていられます。


稜線から顔を出した太陽は、風景はゆっくりと溶かしてゆきます。
凍結と融解を繰り返し微生物に分解される落ち葉は林床に堆積し、やがて土壌を形成してゆきます。そして次の世代を育てる新たな栄養分に変わります。
気づきもしない風景の中の輪廻。自然の中でしぜんに繰り返されているそんな時の流れ。

あまりにも複雑でせわしない現代社会の時の流れとはちょっと違う時間の流れが、ここには、ある。

そんなことを冬に向かう森の中で思った師走のある日。