2017年12月15日金曜日

冬へ向かう森


テレビのニュースが今季一番の冷え込みを伝えた日。
いつもの森には冬に向かう姿がありました。

明けやらぬ森にゆっくりと光が射し、山の朝が始まります。

冷たい空気を吸い込みながらそんな森の姿を眺めていると、
息をするだけでスゥ〜ッと頭の中の霧が晴れてゆくような感覚になれるのです。

深呼吸には脳を活性化させ、心拍数を下げ、気持ちを落ち着ける作用があります。
そして、森の中にはフィトンチッド。樹々が発しているという化学物質。

森の空気の中にたっぷりと含まれているであろうこの物質と澄んだ空気を胸一杯に吸い込むことで気持ちは穏やかに。その存在を直接的に感じるわけではないけれど、心が安らぐということは、きっと効果はあるのでしょう。



冬を前に一見モノトーンに見える森も、
足元に目を落とすとまだそこに残る秋の色。カラフルな世界が広がっていました。


霜の降りた葉は自然が作り出したアート作品。
マクロレンズを付けたカメラで何時間でもファインダーを覗いていられます。


稜線から顔を出した太陽は、風景はゆっくりと溶かしてゆきます。
凍結と融解を繰り返し微生物に分解される落ち葉は林床に堆積し、やがて土壌を形成してゆきます。そして次の世代を育てる新たな栄養分に変わります。
気づきもしない風景の中の輪廻。自然の中でしぜんに繰り返されているそんな時の流れ。

あまりにも複雑でせわしない現代社会の時の流れとはちょっと違う時間の流れが、ここには、ある。

そんなことを冬に向かう森の中で思った師走のある日。

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